「すっげえムカついた。だから意地でもここに残って、あいつと一緒に死んでやるって思った」
言葉とは裏腹に、レツの声色はまるで恋人の短所でも挙げているかのような優しさをはらんでいた。
彼もまた、この世界の理不尽な仕組みに取り込まれただけの人間なのだ。
「おまえらが魔王を討伐するなら、……おれの敵だ」
そこまで言い切って、リュータによって壊された壁の方へ歩き出す。肩越しに彼がにへ、と笑った。
「北の魔王城、戦うんじゃなくて遊びに来るんならいつでも歓迎するぜ。おれはユウジのことは気に入ってるんだ。
……ああユウジ、敵として来るんでも遊びに来るんでも、今度はさっきの続きしような」
その言葉を呑み込み切る前に、レツはその場から居なくなっていた。
ん? まてさっきの続きって。オレ今度あいつに捕まったら終わりか。あらゆる意味で。
「ユウジ」
やはりレツは嵐そのものだ。やっと訪れた静けさの中、リュータに声を掛けられて掴んでいた手を離す。
「ああ、リュータ。来てくれて助かったぜ。ありがとうな」
「あいつに、何されたの」
「……いやー、特に何も」
「服」
いくら単純なリュータ相手といっても、流石にぼろぼろのこの状態で誤魔化せるわけがなかった。乱れた衣服をとりあえず整えながら、どう説明したものかと頭を悩ませる。
飛ばされた先で見た目十五歳の男に襲われてました、と馬鹿正直に答えるのはいかがなものか。自分と「ユウ」を重ねて見ている彼からしてみれば想い人が暴漢に遭ったようなものだ。
レツの言葉をそのまま鵜呑みにするなら、師匠が魔王だった頃の外見は自分と瓜二つらしい。リュータの過保護が加速するのも無理はない。
言葉とは裏腹に、レツの声色はまるで恋人の短所でも挙げているかのような優しさをはらんでいた。
彼もまた、この世界の理不尽な仕組みに取り込まれただけの人間なのだ。
「おまえらが魔王を討伐するなら、……おれの敵だ」
そこまで言い切って、リュータによって壊された壁の方へ歩き出す。肩越しに彼がにへ、と笑った。
「北の魔王城、戦うんじゃなくて遊びに来るんならいつでも歓迎するぜ。おれはユウジのことは気に入ってるんだ。
……ああユウジ、敵として来るんでも遊びに来るんでも、今度はさっきの続きしような」
その言葉を呑み込み切る前に、レツはその場から居なくなっていた。
ん? まてさっきの続きって。オレ今度あいつに捕まったら終わりか。あらゆる意味で。
「ユウジ」
やはりレツは嵐そのものだ。やっと訪れた静けさの中、リュータに声を掛けられて掴んでいた手を離す。
「ああ、リュータ。来てくれて助かったぜ。ありがとうな」
「あいつに、何されたの」
「……いやー、特に何も」
「服」
いくら単純なリュータ相手といっても、流石にぼろぼろのこの状態で誤魔化せるわけがなかった。乱れた衣服をとりあえず整えながら、どう説明したものかと頭を悩ませる。
飛ばされた先で見た目十五歳の男に襲われてました、と馬鹿正直に答えるのはいかがなものか。自分と「ユウ」を重ねて見ている彼からしてみれば想い人が暴漢に遭ったようなものだ。
レツの言葉をそのまま鵜呑みにするなら、師匠が魔王だった頃の外見は自分と瓜二つらしい。リュータの過保護が加速するのも無理はない。
