「その上で、もう一回聞く。リュータ、ユウジ。おまえらは魔王を倒すか?」
「……魔王ってのは、レツ、おまえのことか?」
「ちげーな」
何も答えられなくなっているリュータの代わりに聞き返せば、レツが小さく首を振る。
「じゃあ、おまえは拒否したんだな」
「……仕方ないかって思ったんだ」
溜め息をついて、彼は話し始めた。
「魔王は、本当は何の罪もない一般人で、おれたちみたいに普通に誰かの家で生まれてきて、普通に育って、ほんのちょっとの勇気を振り絞って、世界を変えようと――変えられると信じて戦った人だった。でもそんなこと知らずに、悪役として倒しちまった」
だからおれの番かなって、最後の最後、引き継ぎの時にちょっと諦めちまって。おれらしくなかったよ。
「けど、あいつが――今魔王やってるあいつがさ、代わりたいって言ったんだ。この世界のことはこの世界の人間がやらなきゃいけないから、レツは元の世界に帰ったほうがいいって。あいつが全部持ってったんだ、本来おれが抱えるべきだったもの、全部」
あいつ、というのはおそらく、彼と一緒に旅をしていた仲間のことだろう。自分とリュータのように、師匠とウリエルやダイゴのように、こちらにやってきた日本人と対になるように「運命的に」組まされた相手が、レツにも存在した。
「……魔王ってのは、レツ、おまえのことか?」
「ちげーな」
何も答えられなくなっているリュータの代わりに聞き返せば、レツが小さく首を振る。
「じゃあ、おまえは拒否したんだな」
「……仕方ないかって思ったんだ」
溜め息をついて、彼は話し始めた。
「魔王は、本当は何の罪もない一般人で、おれたちみたいに普通に誰かの家で生まれてきて、普通に育って、ほんのちょっとの勇気を振り絞って、世界を変えようと――変えられると信じて戦った人だった。でもそんなこと知らずに、悪役として倒しちまった」
だからおれの番かなって、最後の最後、引き継ぎの時にちょっと諦めちまって。おれらしくなかったよ。
「けど、あいつが――今魔王やってるあいつがさ、代わりたいって言ったんだ。この世界のことはこの世界の人間がやらなきゃいけないから、レツは元の世界に帰ったほうがいいって。あいつが全部持ってったんだ、本来おれが抱えるべきだったもの、全部」
あいつ、というのはおそらく、彼と一緒に旅をしていた仲間のことだろう。自分とリュータのように、師匠とウリエルやダイゴのように、こちらにやってきた日本人と対になるように「運命的に」組まされた相手が、レツにも存在した。
