【BL】お荷物くんの奮闘記

「そのまさかだ。世界には魔王が必要なんだよ。そして魔王に永遠の治世をさせないために、定期的に勇者が召喚される。召喚はほとんど自動だ、おれたちゃやってねえ」


 どの地域からとかどんなやつをとかある程度絞り込むくらいはできるみてえだけどな。続けられる言葉で、師匠から引き継いだ情報が補完された。


 彼の話が本当だとするなら、勇者になる運命が願いによって決定付けられたリュータと同時に、自分もお荷物同然の状態で呼び出された、理由は。


「勇者が魔王を倒せば、その場で魔王の役割は勇者パーティの誰かに引き継がれる。

基本的には、勇者として召喚された人間へ。

そいつが拒めば、そん中で一番強い奴に。

引き継ぎにあたって一個だけ、魔王を継いだやつは願いを叶える権利が与えられる。

勇者と魔王のシステムを壊さない範囲内で、何でも好きな願いが叶うんだ」


 師匠はおそらく、ウリエルには何も話していない。リュータにとっては疑問に思いながらも手が届かなかった答えの数々を今、よりによって想い人の仇と言える相手から聞かされていることになる。


「……願いの代償は、故郷へ帰れなくなることと、異種族や新たな勇者に諸悪の根源として倒される運命が決定付けられることってわけだろ」


 レツの話を遮ると、彼は気分を害した様子もなく笑って、話が分かるやつで助かるぜ、おれ説明へったくそだからなあ、と頬を掻いた。