「捕獲ー」
耳元にレツの声が聞こえて、振り返る間もなく壁に押し付けられた。
「あれ一発だけなはずねえって斧のとこまで下がっといてよかったぜ。柱を狙ってたなんてな、武器がなきゃおれでもダメージ食らってた」
頭を押さえられ、彼の表情も窺えない。体のすぐ右側に、大きな音とともに斧が突き立てられる。そうか、倒れてくる柱を砕いたか切ったか、つっかえにしたかは知らないが、この大斧で自分の逃げ込むスペースを確保したということか。
「魔法をいつ構成したのかも分かんなかったな。無声魔術か? 旧魔王の力は失ってても、そういう小細工だけは一通りできるみてーだな」
じゃあおれは続けるから、またいつでも抵抗していいぜ。言ってすぐ、レツの左手がこちらの口を塞ぐ。左右を斧と手で阻まれて逃げ場を失くし、腕から脱出できても扉が開かない。どうせすぐ殺られるわけじゃねえしと諦めて、身体をまさぐる手にそのまま身を任せる。
首筋に噛み付かれて息を呑んだその時、フロアの反対側から爆発音が聞こえた。
「……なにしてるの」
側に突き立てられていた斧が引き抜かれ、背後に感じていたレツの体温が消える。振り返ると、たった今人でも殺してきたかのような酷い形相でリュータがこちらに歩み寄ってきていた。
「おっ、リュータやっと来たか! 久しぶりだな!」
耳元にレツの声が聞こえて、振り返る間もなく壁に押し付けられた。
「あれ一発だけなはずねえって斧のとこまで下がっといてよかったぜ。柱を狙ってたなんてな、武器がなきゃおれでもダメージ食らってた」
頭を押さえられ、彼の表情も窺えない。体のすぐ右側に、大きな音とともに斧が突き立てられる。そうか、倒れてくる柱を砕いたか切ったか、つっかえにしたかは知らないが、この大斧で自分の逃げ込むスペースを確保したということか。
「魔法をいつ構成したのかも分かんなかったな。無声魔術か? 旧魔王の力は失ってても、そういう小細工だけは一通りできるみてーだな」
じゃあおれは続けるから、またいつでも抵抗していいぜ。言ってすぐ、レツの左手がこちらの口を塞ぐ。左右を斧と手で阻まれて逃げ場を失くし、腕から脱出できても扉が開かない。どうせすぐ殺られるわけじゃねえしと諦めて、身体をまさぐる手にそのまま身を任せる。
首筋に噛み付かれて息を呑んだその時、フロアの反対側から爆発音が聞こえた。
「……なにしてるの」
側に突き立てられていた斧が引き抜かれ、背後に感じていたレツの体温が消える。振り返ると、たった今人でも殺してきたかのような酷い形相でリュータがこちらに歩み寄ってきていた。
「おっ、リュータやっと来たか! 久しぶりだな!」
