「ははは。抵抗してくれた方がおもしれーし、好きなだけ暴れてみろよ」
「くっそ……!」
読んでて良かった参考書。言葉を魔法の構成に一対一で対応させていき相手の発する言葉そのものさえも媒介に魔法を構築するという絶対に敵には回したくないスキルをこの二日間でさわりだけでも覚えておいたのが今ここで役に立った。
こちらが呻いたと同時に二人の間に発生した火球が、レツに向かって飛ぶ。彼がうおっ、と声を上げ、真っ直ぐ後方に飛び退いた。火球は斜め上、彼の頭上ギリギリに走り、背後の柱を直撃する。
「うえっ、おっかねー!」
レツと自分を巻き込むように、折れた柱は推測通り直線に倒れてきた。
左に転がって、寸でのところで柱の直撃範囲から逃れる。柱の根本付近に居たレツは逃げるタイミングを逸したはずだ。
しかし、あれで彼を倒せたとは思えない。どっちに走ればいいか分からないが、急いでこの場を離れなければ。
縛られたままで使えない両手でなんとか起き上がり、フロアの端まで駆ける。行き止まりだ。おそらく出口だろう扉はかたく閉ざされており、何かの仕掛けを解除しなければ開かない仕組みになっているようだ。
「くっそ……!」
読んでて良かった参考書。言葉を魔法の構成に一対一で対応させていき相手の発する言葉そのものさえも媒介に魔法を構築するという絶対に敵には回したくないスキルをこの二日間でさわりだけでも覚えておいたのが今ここで役に立った。
こちらが呻いたと同時に二人の間に発生した火球が、レツに向かって飛ぶ。彼がうおっ、と声を上げ、真っ直ぐ後方に飛び退いた。火球は斜め上、彼の頭上ギリギリに走り、背後の柱を直撃する。
「うえっ、おっかねー!」
レツと自分を巻き込むように、折れた柱は推測通り直線に倒れてきた。
左に転がって、寸でのところで柱の直撃範囲から逃れる。柱の根本付近に居たレツは逃げるタイミングを逸したはずだ。
しかし、あれで彼を倒せたとは思えない。どっちに走ればいいか分からないが、急いでこの場を離れなければ。
縛られたままで使えない両手でなんとか起き上がり、フロアの端まで駆ける。行き止まりだ。おそらく出口だろう扉はかたく閉ざされており、何かの仕掛けを解除しなければ開かない仕組みになっているようだ。
