【BL】お荷物くんの奮闘記

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 東国を目前にして、先を歩いていたユウジとリュータが突然ノイズがかって消えてしまった。

残されたノアと自分で東国の使者を問い詰めたが、このような現象が国外――門の外で起きたことはこれまで無かったのだという。

呪いの作動範囲というのも、ワープゾーンのことを言っていたのではなく言葉通り感染と侵食の意味で警告を出していたらしい。


 これまでは国内、それも門の中において限定的にワープゾーンが自然発生していた。

転移先は森の中から海の底までどこになるのか皆目見当もつかないから、安心して眠れもしないと国民の大半が門の外へ避難してしまったそうだ。

これも蔓延した呪いとやらの影響だったらしいが、今回の件は彼にとっても予測外の事態だったようである。


「まさか国外にもワープゾーンが生成されるとはな……大賢者様はご無事だろうか」


 ユウジの身を案じるノアの口ぶりに思わず顔が引きつる。


「その呼び方はなんとかならんのか。虫唾が走る」


「おまえに指図される筋合いは無い、ベルなんとかとやら」


「ヴェルターだ。……全く、貴様とはつくづく相性が悪いようだな」


 よりによってこの組み合わせで残されるとは。気が合わないながらお互い同時に溜め息を吐いて、どうしたものかと思考を巡らせる。

捜索か待機か、はたまた先を急ぐか。……なんにせよ、転移先が人の生存できる場所ではない可能性もあるということは、さほど時間もなさそうである。



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