どうやら、自分達が彼らの扱いに悩んでいるところにもう一人客人がやってきたようだ。


「大陸東方の……」


「確か、呪術で成り立つ国だったな。外交はほとんど無いと聞く」


 ヴェルターがさりげなく補足してくれる。師匠のおかげで数千年昔のおおまかな大陸マップは頭にインストールされたが、数千年も昔のものなどほとんど使いものにならない。そのうち記憶容量の削減で日本地図すら思い浮かべられなくなってしまったらどうしよう。


 しかし、呪術で成り立つ鎖国っぽいことしてる国、か。渡りに船だ。


「……ユウジ、これは」


「ああ。……ノア、その人と会わせてくれないか」


「仰せのままに」


 うまく行けば、そこを隠れ蓑にすることができるかもしれない。ヴェルターと二人にやりと笑みを交わした横で、リュータがまたしてもむくれていた。





 自分達三人と、ノアがすぐ側に控えた状態で使いの者の話を聞くことになった。


 使いの者の話によると、元々東の呪術の国は「世界の呪い」の構成を研究し、それを利用して呪術として組み上げた国家なのだそうだ。