「ほんと? やったー! そろそろ腕が痺れてきててさ」
勇者様がアホ丸出しだが、部屋には自分達三人しかいないので適度にスルーしておく。
「さっきも話した、各国から拉致されていたと思われる魔法使いだけど。特に危害を加えられた様子はないみたいだ。どうもここの仲間になって、国に帰っていないだけらしい」
主にヴェルターに向けて、ここで得た情報を共有する。彼は考える仕草を見せて、そうかと一言小さく口にした。
「自分の意志で帰っていないってなら、別にここの連中を全員しょっぴくようなことはないと思うんだ。一旦退いて、これを上に報告することで戦いは回避できないかな」
「どうだろうな。連中に対する不信感は国中どころか大陸中に広がっている。いっそ捕縛しておいた方が民も納得するだろうという結論になる可能性も少なくはないぞ」
そして、そうなった場合任務を自己判断で切り上げて帰ることになるヴェルターはお咎めを食らうことだろう。彼の仕える人物が理解のある人間であればいいが、口振りからして期待はできなさそうだ。
「他に手を考えないとまずいか。ヴェルターはどう思う? 蓋を開けてみりゃただの大賢者ファンクラブなんだし、活動を控えるように伝えれば収まりそうな気もするんだけど」
「理想論だな。ユウジ、おまえが言うに奴らは高レベル魔法使いの集団なのだろう。平均レベル五十の魔法使い――それも大賢者の術を少なからず習得している者が四十名以上だ。
命令一つで命も投げ出せるほど大賢者に心酔し、統率の取れた集団が、国にとってどれだけ危険な軍隊になるか。そこに気が付かない大将は居まい」
勇者様がアホ丸出しだが、部屋には自分達三人しかいないので適度にスルーしておく。
「さっきも話した、各国から拉致されていたと思われる魔法使いだけど。特に危害を加えられた様子はないみたいだ。どうもここの仲間になって、国に帰っていないだけらしい」
主にヴェルターに向けて、ここで得た情報を共有する。彼は考える仕草を見せて、そうかと一言小さく口にした。
「自分の意志で帰っていないってなら、別にここの連中を全員しょっぴくようなことはないと思うんだ。一旦退いて、これを上に報告することで戦いは回避できないかな」
「どうだろうな。連中に対する不信感は国中どころか大陸中に広がっている。いっそ捕縛しておいた方が民も納得するだろうという結論になる可能性も少なくはないぞ」
そして、そうなった場合任務を自己判断で切り上げて帰ることになるヴェルターはお咎めを食らうことだろう。彼の仕える人物が理解のある人間であればいいが、口振りからして期待はできなさそうだ。
「他に手を考えないとまずいか。ヴェルターはどう思う? 蓋を開けてみりゃただの大賢者ファンクラブなんだし、活動を控えるように伝えれば収まりそうな気もするんだけど」
「理想論だな。ユウジ、おまえが言うに奴らは高レベル魔法使いの集団なのだろう。平均レベル五十の魔法使い――それも大賢者の術を少なからず習得している者が四十名以上だ。
命令一つで命も投げ出せるほど大賢者に心酔し、統率の取れた集団が、国にとってどれだけ危険な軍隊になるか。そこに気が付かない大将は居まい」
