【BL】お荷物くんの奮闘記

 リュータの背に庇われる形で、ノアから引き離される。ヴェルターの方も下っ端を倒し終えたか、リュータと並んでノアに対峙する。


「ふん、狙いはやはり大賢者様だったか。ならばなおのこと、生きて帰すわけにはいかないな」


 今にも大将同士の戦闘が始まりそうな雰囲気に、リュータ達を押しのけて三者の間へ進み出た。


「ちょっと待て! ヴェルター、それからノア……あ、リュータはいいや。話しておきたいことがある」


「おれはいいってなに」


「おまえはどうせ何も考えてないだろ」


「そうだけど……」


「とにかくおまえは何も口を挟むなよ。ややこしくなるから」


 リュータに関しては始めから心配などしていない。この場にいるヴェルター、ノア、自分の三択であれば彼が誰の味方につくかは分かりきっているし、流石にそれくらいの自信はある。


 不満げにむくれているリュータはひとまず置いておくとして、問題は立場上敵対していると思われるヴェルターとノアだ。今回の任務が終わるまではヴェルターはこちらと戦う気はないと言っていたが、自分がノアの肩を持てばその話もどうなるか分かったものではない。


「まず、ヴェルター。例の件だけど、全員無事みたいだ」