「そうじゃないけど」
ひょっとしたら知り合いかもしれないんだ、と言って良いものか分からない。落ち着け。この場で自分はどう行動するのが正解だ。
「ああ、我らの力量を見られたいということですな。これは万に一つも無様な戦いなどできない」
一人で納得してくれたようだ。少々危険な賭けになるが、交戦中のところに割って入って事情を説明するしかない。
ノアの後ろに続く形で、拠点の入り口付近にまで戻る。爆発音が近付いてきて、交戦相手が思った通りリュータたちであることを知った。
どうやら戦っているのはヴェルターとリュータだけのようだ。部下達を参加させても無意味だと知って早々に下がらせたのかもしれない。リュータが、急な事態にも冷静に対応できるヴェルターと一緒で良かった。これなら被害は最小限に話し合いへ持っていけるだろう。
「ユウジ!」
こちらに気付いたリュータが、剣戟の合間に安堵の表情を見せた。魔力剣相手に白亜の剣で戦っていた彼は、剣を一閃させて相手を弾き飛ばしこちらまで駆け寄ってくる。敵がすぐ近くにいるのもお構いなしで、次の瞬間大袈裟に飛びつかれた。
「よかった、無事で……もう、安心して目離せない」
「お、おい、リュータ」
「おれの手に手錠で繋いでおけばいいかな。ユウジ離れるとすぐ危ない目に遭ってるんだもん、おれ心臓いくつあっても足んないよ」
それって、オレだけじゃなくておまえの好きな「ユウ」のことも込みじゃないか。口をついて出そうになって、すんでのところで呑み込んだ。
直後、リュータが自分を抱えて大きく後方に跳躍する。ノアの放った氷結魔法が、すぐ側を抜けて壁を凍らせた。
「おまえの相手はオレだ、その手を離してもらおう。大賢者様の御前での戦闘だからな、一切手加減はしない」
「……ユウジは渡さない」
ひょっとしたら知り合いかもしれないんだ、と言って良いものか分からない。落ち着け。この場で自分はどう行動するのが正解だ。
「ああ、我らの力量を見られたいということですな。これは万に一つも無様な戦いなどできない」
一人で納得してくれたようだ。少々危険な賭けになるが、交戦中のところに割って入って事情を説明するしかない。
ノアの後ろに続く形で、拠点の入り口付近にまで戻る。爆発音が近付いてきて、交戦相手が思った通りリュータたちであることを知った。
どうやら戦っているのはヴェルターとリュータだけのようだ。部下達を参加させても無意味だと知って早々に下がらせたのかもしれない。リュータが、急な事態にも冷静に対応できるヴェルターと一緒で良かった。これなら被害は最小限に話し合いへ持っていけるだろう。
「ユウジ!」
こちらに気付いたリュータが、剣戟の合間に安堵の表情を見せた。魔力剣相手に白亜の剣で戦っていた彼は、剣を一閃させて相手を弾き飛ばしこちらまで駆け寄ってくる。敵がすぐ近くにいるのもお構いなしで、次の瞬間大袈裟に飛びつかれた。
「よかった、無事で……もう、安心して目離せない」
「お、おい、リュータ」
「おれの手に手錠で繋いでおけばいいかな。ユウジ離れるとすぐ危ない目に遭ってるんだもん、おれ心臓いくつあっても足んないよ」
それって、オレだけじゃなくておまえの好きな「ユウ」のことも込みじゃないか。口をついて出そうになって、すんでのところで呑み込んだ。
直後、リュータが自分を抱えて大きく後方に跳躍する。ノアの放った氷結魔法が、すぐ側を抜けて壁を凍らせた。
「おまえの相手はオレだ、その手を離してもらおう。大賢者様の御前での戦闘だからな、一切手加減はしない」
「……ユウジは渡さない」
