【BL】お荷物くんの奮闘記

 情けを掛けられた、救われた恩を忘れ大賢者様を魔王呼ばわりし貶めた者共に裁きを。そしてあろうことか貴方を手にかけようとした似非勇者に必ずや制裁を下す時が来る。そのために我らは同志を集め、力を蓄えてきたのです。


 まるで恋人に愛を囁くかのような甘ったるい声色と視線がどうにも気になったが、言っていることは「大賢者様に逆らう者は皆殺しじゃ」である。だめだ説得できる気がしない。


「討って出られる際はぜひとも我らをお連れください。皆そこらの雑兵に苦戦するような、無様な戦い方などいたしません。お役に立って見せましょう」


 反社会組織の実態は、知らない間に結成されていた最強の大賢者親衛隊だったようだ。こういう相手にはもはや話を合わせつつ、それとなく誘導していくしかない。


「そういえば、国で行方不明になった魔法使いの実力者がいると聞いたんだが心当たりはあるか?」


 ヴェルターが言うには、この大賢者ファンクラブによって拉致されそのまま帰ってこなかったらしい者達である。本当に彼らがやったことなら、慕っている大賢者から聞かれて答えないはずがない。


「どの者をお探しか私では分かりかねますが、そのような者は皆、貴方の偉大さに触れ同志となっております」


 ああやっぱり殺され、殺、……うん? 同志?


「え、ここに居る人たちって」