【BL】お荷物くんの奮闘記

 とするとこの画面に表示されている控えユニット四十名は、まさか今フロアで大賢者様が帰ってきた、と興奮して楽しそうな連中を指しているのだろうか。

レベル六十三の猛者を除いても、下へスワイプさせれば最低レベルがレベル四十二。

どう考えても雑魚の自分では手も足も出ない。ヴェルターの部下でも敵わないだろう。

彼自身が戦ったとして、目の前で何やらうれしそうに頬を染めているノアとギリギリ互角か。

その戦いに他の連中が加われば間違いなくヴェルターに勝ち目はない。

リュータならなんとかしそうな気もするが、奇跡というのは敵にも味方にも等しく起こりうるものだ。可愛い弟分の死など何度も見たいものではない。


「貴方の物に私などの名が記されているとは、光栄です」


「そ、そうか?」


 こんな連中相手に、ヴェルター率いる部下と自分たちだけで勝てるわけがない。やりようによっては勝利も可能だろうが、確実にこちら側へ多大な被害が出る。


 歓迎ムードの中で忘れかけていたが、リュータ達は今も自分を追って――または後回しにして、拠点を目指しているはずだ。

中にはヴェルター子飼いの部下も紛れ込んでいるらしいが、スマホのような便利アイテムを持たない密偵たちはレベル帯を把握することはできないのである。

内部事情を知ることなく今にも突入されてしまえば、まずいことになる。


「私のステータスを見て驚かれたのでしょうか。貴方のお力になるため、今日まで鍛錬を重ねてまいりました」