自分の声で、完全に覚醒する。今見せられたものが全部本当に以前起こったものだったとしたら、自分のちっぽけな思いも決心も、とんだ茶番だ。
確実に、何かが自分に溶けて混ざった。それはおそらくこれまで師匠と呼んでいた何者かの経験の断片であって、自分が忘れていた記憶でもあった。
「師匠は、まさかオレの前世か何か……っておい、師匠」
いつの間にか腕輪に潜ってしまったらしい師匠は、普段第三者が居る時のように呼んでも叩いても出てこない。
追及を避けたか、別の理由があるのかは分からないが、あちらが出てこないのを自分の方で強制的に引っ張り出すことはおそらく出来ないだろう。今は入手した情報を整理することにする。
まず、大前提としてこの世界は人と魔の立場が反転し続けながら回っている。
その反転作業に必要なのが、異世界の勇者による魔王討伐だ。
勇者は人優勢の時代でも魔優勢の時代でも一律異世界の人間が呼び出され、討伐後は魔王を継ぐか、あちらへ帰るかの選択を迫られるようである。
魔王を継ぐとボーナスとして願いが何でも一つだけ叶い、さらにたった今倒した魔王の記憶が単なる情報として、感情抜きに頭に流れ込んでくる。
確実に、何かが自分に溶けて混ざった。それはおそらくこれまで師匠と呼んでいた何者かの経験の断片であって、自分が忘れていた記憶でもあった。
「師匠は、まさかオレの前世か何か……っておい、師匠」
いつの間にか腕輪に潜ってしまったらしい師匠は、普段第三者が居る時のように呼んでも叩いても出てこない。
追及を避けたか、別の理由があるのかは分からないが、あちらが出てこないのを自分の方で強制的に引っ張り出すことはおそらく出来ないだろう。今は入手した情報を整理することにする。
まず、大前提としてこの世界は人と魔の立場が反転し続けながら回っている。
その反転作業に必要なのが、異世界の勇者による魔王討伐だ。
勇者は人優勢の時代でも魔優勢の時代でも一律異世界の人間が呼び出され、討伐後は魔王を継ぐか、あちらへ帰るかの選択を迫られるようである。
魔王を継ぐとボーナスとして願いが何でも一つだけ叶い、さらにたった今倒した魔王の記憶が単なる情報として、感情抜きに頭に流れ込んでくる。
