世界に、勇者が二人。新たな異世界の勇者はまた、十歳前後の小さな子供だった。捻り潰すことなど容易なはずだったのに、何度殺そうとしても上手くいかなかった。
「いいぜ、オレを倒すんでも。魔王が居る限り、あいつは世界に必要な存在でいられる」
自分のこの身体が朽ちても、彼は勇者として選ばれ続ける。そして勇者は次代の魔王になるしかない。そうやって何人も、何人も、魔王は生み出され続けてきた。自分が願いと引き換えにイレギュラーにした彼を除いて。
勇者は永遠に二人ずつ。彼は何度も勇者になる。もう一人は魔王になる。追加の勇者が召喚される。彼は勇者のまま、再び民の期待を背負って旅立つ。
「せいぜいラスボスやってくれや、悪逆非道の限りを尽くしてな」
だから本当は、自分が足掻く必要なんてなかった。
自分が魔王でい続けられれば、彼ともう一度、なんて、考えなければ。
「これがおまえらの望んだ、終焉だ」
彼と同い年くらいの少年が、怒りに満ちた表情で迫る。勇者の振りかざした斧を、かわすだけの力は残っていない。
頭を支配しかけていた臨場感から、急に意識が浮上する。
「……師匠、は」
「いいぜ、オレを倒すんでも。魔王が居る限り、あいつは世界に必要な存在でいられる」
自分のこの身体が朽ちても、彼は勇者として選ばれ続ける。そして勇者は次代の魔王になるしかない。そうやって何人も、何人も、魔王は生み出され続けてきた。自分が願いと引き換えにイレギュラーにした彼を除いて。
勇者は永遠に二人ずつ。彼は何度も勇者になる。もう一人は魔王になる。追加の勇者が召喚される。彼は勇者のまま、再び民の期待を背負って旅立つ。
「せいぜいラスボスやってくれや、悪逆非道の限りを尽くしてな」
だから本当は、自分が足掻く必要なんてなかった。
自分が魔王でい続けられれば、彼ともう一度、なんて、考えなければ。
「これがおまえらの望んだ、終焉だ」
彼と同い年くらいの少年が、怒りに満ちた表情で迫る。勇者の振りかざした斧を、かわすだけの力は残っていない。
頭を支配しかけていた臨場感から、急に意識が浮上する。
「……師匠、は」
