「まあ、でも、なんも説明しねえで尻拭い押し付けるのは悪いよな。……これが今、おまえさんに必要な分だ。持ってけ」
指先が額に触れ、僅かに光る。目の前がブラックアウトして、その場に膝をついた。見えている部屋の中の景色と、流れ込んでくる映像がぐちゃぐちゃに重なる。
映像の混線が次第に整い始める。焦点が合うと、見たことのない、社会人と思しき男性がプログラミング言語を紙に書いていた。
男性の隣には自分がいる。まるで外国語でも習っているような様子で真剣に男性の手元を見つめている。
場面が切り替わる。社会人の男性は、この世界でのダンジョンのひとつだろう神殿で何かを探しているようだった。再び場面が移り、男性はノイズの中に引き寄せられて。
暗転して、次に登場したのはリュータによく似た小学生くらいの少年だった。ものものしい雰囲気の城で、自分は少年に何かを尋ねる。少年が首を傾げる。彼は地上の存在ではないから、この「引き継ぎ」からは除外されたのかもしれない。もしくは、自分がただ単純に力を望んでいたからか。力の権限は自分に流れ込み、記憶が、データが、保存、保存領域が足りない、何かを捨てなければ全てを記憶できない、全てをこの手にしておかなければ勇者が、勇者、ゆ。
「おれは人間でも魔族でもないから、みんなの仲間に入れてもらえないんだって」
魔王の種が、腹の底に。
指先が額に触れ、僅かに光る。目の前がブラックアウトして、その場に膝をついた。見えている部屋の中の景色と、流れ込んでくる映像がぐちゃぐちゃに重なる。
映像の混線が次第に整い始める。焦点が合うと、見たことのない、社会人と思しき男性がプログラミング言語を紙に書いていた。
男性の隣には自分がいる。まるで外国語でも習っているような様子で真剣に男性の手元を見つめている。
場面が切り替わる。社会人の男性は、この世界でのダンジョンのひとつだろう神殿で何かを探しているようだった。再び場面が移り、男性はノイズの中に引き寄せられて。
暗転して、次に登場したのはリュータによく似た小学生くらいの少年だった。ものものしい雰囲気の城で、自分は少年に何かを尋ねる。少年が首を傾げる。彼は地上の存在ではないから、この「引き継ぎ」からは除外されたのかもしれない。もしくは、自分がただ単純に力を望んでいたからか。力の権限は自分に流れ込み、記憶が、データが、保存、保存領域が足りない、何かを捨てなければ全てを記憶できない、全てをこの手にしておかなければ勇者が、勇者、ゆ。
「おれは人間でも魔族でもないから、みんなの仲間に入れてもらえないんだって」
魔王の種が、腹の底に。
