【BL】お荷物くんの奮闘記

 リュータは元々人助けが趣味みたいなところがあったからあまり変わりは無いかもしれない。むしろ彼が勇者だというなら天職だろう。けれど、それなら、自分は?


「師匠だな。……オレの中に入ってきてんの」


「この部屋で、そこまで分かっちまうか」


 さっすが『研究者』。頭の回転は速いな。呆れ声で出てきた大賢者が苦笑を見せる。


「実は色々知ってんだろ。教えてくれよ、……教えろよ。オレが欲しいもの全部」


 反社会組織の行動理由になる存在。裏コマンドを生成できる唯一の人物。中央都市で実験と称して町を滅ぼそうとする、民のことなど気にも留めないはずの世界の王に、反社会組織ごと目を付けられていると推測できる大賢者。


「あんたは、誰だ?」


 恐らく今自分が接触できる者の中で最も、重要人物だ。それがほとんど最初から、自分と行動を共にしていた。


「オレは、おまえだ。……って言ったら、驚くか」


「……どういう」


「安心しな、オレ様の要素が加わろうと、恐らくおまえはおまえのままだ。むしろ吸われてんのはオレ様の方だな」


 オレがいちいち説明しなくても、そのうち全部分かるようになる。そう言って彼が腕輪の上に立ち、こちらの顔に手を伸ばしてくる。