【BL】お荷物くんの奮闘記

「おい、ウリエル。その怪我」


 帰り道をゆっくり歩いたおかげで、出血はとっくに止まっている。なるべく目立たないように血は拭ったつもりだったが、やはりばれてしまうものらしい。


「……何があったか教えろ」


 彼に腕を掴まれて、部屋の中に引きずり込まれる。それからそうっと、彼が魔力を集めた右手を頭部に伸ばしてきた。

一定時間の経過した傷を、痕を残さないように治癒するのは普段戦闘で用いるような回復魔法では難しいのだ。


 回復魔法の淡い光に照らされたユウは、どう見ても怒っている。誤魔化せばさらに彼の機嫌を損ねそうで、嘘をつくのに自信が無い自分は正直に話すことにした。


 自分が度々人助けのために出かけているということは、彼も分かっていたらしい。


 今日は、純粋な人間の暮らす里に足を運んだ。この時期は竜種の繁殖期で、子供を産んだ飛竜が子のための食料を捕獲しに巣穴から出てくることが多いのだ。

ここ数年で巣穴の近くに追いやられていた人間の集落に狙いをつけた飛竜によって、人攫いの被害が相次いでいたという話を聞いて、住民には何も告げずに討伐に赴いたのである。


 業火の飛竜の撃破自体は何ということはなかった。一人で餌も取れない子供は捨て置いても構わないのだが、念のためと巣穴を覗いてみると飛竜に餌として攫われたらしい少女が、巣穴の端に身を隠して震えていた。