【BL】お荷物くんの奮闘記

 ひとつ試したいことがある、と言って、回復を終えると、ユウは結界を解かずに自分だけ結界の外へ出た。結界系の魔法は基本的には対象者はその場を動くことはできないが、結界を作り出した本人に限っては、効力を術者対象外に切り替えるだけで簡単に移動することができる。


 正確に計算できているわけではないが、ここまでの連戦から考えても彼の魔力はほとんど枯渇していると見ていい。天使は無表情のまま、何度目かの光の雨を打ち出した。


 ユウは避けようともしない。ギリギリまで光弾を引き付けて、指先に集中させたごく小さな魔力結界で被弾する光をすべて切り分けた。そのまま天使の横を素通りし、祭壇に向かう。


「おまえは、ガブリエル、だな。この世界に降りた時点で、おまえの一部はこの世界の法則に縛られている」


 天使の光魔法はひとつも当たらなかった。ユウが祭壇に片手を着く。


「帰ってもらうぜ。悪いけど、呼んじまったのは不可抗力だ」


 彼の手を始点に、青い光を放つ魔法陣が展開する。古い祭壇だったそれは輝炎の神殿の光る床のように輝き始め、魔法陣の中心に天使を吸収した。


 再び静寂を取り戻したフロアで、ユウがその場に倒れ込む。結界を破り慌てて彼に駆け寄ると、彼は一言、疲れた、と笑った。


「魔力からっぽだ。まだ何かボス的なの来んならオレ次パスな」