【BL】お荷物くんの奮闘記

 ユウの言葉に背後を見れば、通ってきた扉はいつの間にか鉄格子で封鎖されている。


「扉、もうないね」


「倒さなきゃ元の部屋にも戻れねえらしいな」


 亀がのそりと起き上がり、こちらを視界に捉えた。甲羅のあちこちに青い宝玉の埋め込まれた魔物は、いかにも氷結魔法を使ってきそうな見た目をしている。防御力も高そうだ。

動きが鈍いだろうことが攻略ポイントになるのかもしれないが、部屋の半分近くの面積を埋めている巨体では移動の遅さは大した弱点にはならなさそうである。

むしろ、部屋のどこへ回避しても相手の攻撃範囲内になる上あの巨体そのものが障害物となってこちらの動きが制限されることが考えられる以上、自分達の方が大分不利である。


 亀の宝玉が白く輝き始める。冷気が集まり、光線が発されると同時に二手に分かれて駆け出した。


 狙うなら甲羅から出ている首か。手足も狙えるが、苦労して鈍足の動きを封じるくらいなら首を真っ先に狙った方が手っ取り早い。


 かといって甲羅に飛び移り、駆け上がって首を取りに行くには宝玉による魔法のリスクがある。部屋の端で、中央に居る亀とぎりぎりまで距離を保てれば氷結光線が発射される瞬間に避けることで回避は可能だが、甲羅の上まで接近している時に魔法を撃たれれば回避不可能だ。


 まず宝玉を無力化できないだろうか。二発目の光線を避けながら歯噛みしていると、ユウが攻撃に出た。