【BL】お荷物くんの奮闘記

「二ヶ所見に行くだけでいいもんね」


「オレがマッピングしながら進むわ。前衛頑張れよ」


 戦士と自分の二人で、ほとんど同時に頷いた。近接攻撃の通用しない魔物が出ない限りは彼に地図を任せた方が良い。じゃあ普段通り後方支援するわ、と僧侶が肩を竦める。


「根拠らしい根拠はねえから独り言だと思って聞いてくれりゃいいけど、オレの予想としては正解の道に進むにつれて扉の枚数が減ってくんじゃないかと思ってる」


 魔物の居る方向にだけ進めば正解、ってパターンも聞いたことはあるが、今回は全方向に魔物が出たからな。ユウが先ほど使用した紙とペン、それから下敷きがわりに魔術書を一冊荷物から取り出しながら呟く。


「しばらく連戦だが、いいか?」


 その場に異論は出なかった。



 当初の予定ではひとつずつ扉を確認していくつもりだったのだが、出現する魔物がランダムだと分かるとそうも言っていられなくなった。

氷の狼だけでなく、氷結魔法を撃ってくるエレメント系魔物、天井近くを飛び遠距離攻撃を仕掛けてくるハーピー型魔物や蜘蛛型魔物まで出現してこられると前衛だけではどうしようもない。呑気に全室マッピングなどしていられないのだ。