【BL】お荷物くんの奮闘記

「どうもなにも、何にも無かったわ。行き止まりまで進んでみたけど魔物一匹いやしないし、奥には凍った滝があったくらいね」


「それだ。道の両端に水路がなかったか?」


「あったけど、……ひょっとして、あの凍ってるのをまたどうにかすれば仕掛けが動くの?」


「こっちの行き止まりには動いてねえ水車があった。滝を復活させて水車まで水を引き込めば、それが動力源になって何か起こるはずだぜ」


 基本的に頭脳担当な僧侶とユウが、互いの意見を交換し合う。もう一度全員で左の通路に進むと、彼女の言った通り流れ落ちる形のままで凍った滝があった。


「ウリエル、今度は加減は必要ねえぞ」


 出番だ、とばかりに前に出される。彼も火属性魔法は使えるはずだが、自分の炎は魔力を消耗するわけではないので、彼の魔力温存のため自分が出るのは理に適っている。


 入口で生成した炎と同じように火球を作り増幅する。周囲の温度が上がったのを確認し、凍った滝の根本へ炎を投げつけた。


 氷は上流ごと折れ、崩れる前に水に変わった。凍った滝に塞がれていた排水口に穴が開く。水路の奥まで炎は侵入し、水の音が聞こえてきたかと思った瞬間、排水口から水が溢れてきた。


 周囲には湯気が立ち込めている。遠くの方で、水車が軋みながら回り始める音がした。


「おつかれさーん、フロア中央に戻るか」