「故意じゃねえから気をつけろって言ってんの」
先日輝炎の神殿で石碑を倒し、うっかり床ごと破損させてしまったことは未だにネタにされている。
聞けばあの幽霊のような半透明の男性は魔法による映し絵のようなもので、自分が壊してしまわなければもっとクリアな見た目と声だったはずとのことだ。
唇を尖らせてみせるとユウは満足して、頭をくしゃっと撫でた。
彼よりずっと身長が低いのが思い知らされるようで、あまり良い気分はしない。どうして頭を撫でるのか訊ねると、撫でやすい位置にあるとか、髪の感触が手触り良くてついだとか、そんな理由をにやにやと話してくる。傷付くのは自分なのでそれ以上は聞かないことにしている。どうせチビだよ。
両手に炎を纏って、扉に触れる。触れた場所から氷が水になって流れ出し、足元で再び固まった。気温が低すぎて、一度にある程度の量を溶かしてしまわないと扉は開くようにならないらしい。
「……ユウ、もうちょっと強くしても大丈夫そう?」
「あー、おまえそういう細かいの苦手だったな。分かった、オレが制御するからおまえはでっかい火球だけ出してろ」
自分がやると言った手前彼の力を借りるのは情けなかったが、間違っても先日のように神殿を破壊して再び遺跡クラッシャーと呼ばれる事態だけは避けたい。
先日輝炎の神殿で石碑を倒し、うっかり床ごと破損させてしまったことは未だにネタにされている。
聞けばあの幽霊のような半透明の男性は魔法による映し絵のようなもので、自分が壊してしまわなければもっとクリアな見た目と声だったはずとのことだ。
唇を尖らせてみせるとユウは満足して、頭をくしゃっと撫でた。
彼よりずっと身長が低いのが思い知らされるようで、あまり良い気分はしない。どうして頭を撫でるのか訊ねると、撫でやすい位置にあるとか、髪の感触が手触り良くてついだとか、そんな理由をにやにやと話してくる。傷付くのは自分なのでそれ以上は聞かないことにしている。どうせチビだよ。
両手に炎を纏って、扉に触れる。触れた場所から氷が水になって流れ出し、足元で再び固まった。気温が低すぎて、一度にある程度の量を溶かしてしまわないと扉は開くようにならないらしい。
「……ユウ、もうちょっと強くしても大丈夫そう?」
「あー、おまえそういう細かいの苦手だったな。分かった、オレが制御するからおまえはでっかい火球だけ出してろ」
自分がやると言った手前彼の力を借りるのは情けなかったが、間違っても先日のように神殿を破壊して再び遺跡クラッシャーと呼ばれる事態だけは避けたい。
