遺体も一片さえ残らない死に方をした勇者を蘇生させるのは、きっと限りなく不可能に近いことだ。だからこそ、自分が二代目勇者として派遣された。その事実は、勇者の肉体を再生できないと世界が判断を下したことを意味している。
それでも、可能性に縋ることをやめられない。
そう言った彼の少し寂しそうな声だけが、悲しみの分からなかった自分の胸に残った。
水雹の神殿と魔王城、どちらも北の方角に位置しているというのは都合が良い。最後の最終奥義、氷魔法を得てすぐに魔王城へ向かうことができるのである。
先代勇者に与えられるはずだった奥義を上手く自分のものにできているのかという不安もあって、次の神殿では積極的に前に出ておきたい。
神殿は川の上流、洞窟の奥に建てられていた。進むにつれ洞窟内の気温は下がり、神殿の入り口に到着する頃にはすっかり周りは霜に結晶、氷柱だらけだ。
肝心の神殿の扉は凍っていてびくともしない。
「おれが溶かすよ」
「手加減しろよ。おまえ遺跡クラッシャーだからな」
「この間のだってわざとじゃないよ」
それでも、可能性に縋ることをやめられない。
そう言った彼の少し寂しそうな声だけが、悲しみの分からなかった自分の胸に残った。
水雹の神殿と魔王城、どちらも北の方角に位置しているというのは都合が良い。最後の最終奥義、氷魔法を得てすぐに魔王城へ向かうことができるのである。
先代勇者に与えられるはずだった奥義を上手く自分のものにできているのかという不安もあって、次の神殿では積極的に前に出ておきたい。
神殿は川の上流、洞窟の奥に建てられていた。進むにつれ洞窟内の気温は下がり、神殿の入り口に到着する頃にはすっかり周りは霜に結晶、氷柱だらけだ。
肝心の神殿の扉は凍っていてびくともしない。
「おれが溶かすよ」
「手加減しろよ。おまえ遺跡クラッシャーだからな」
「この間のだってわざとじゃないよ」
