……君にこれから授ける技は、悪の根源を絶つために役立つ力になる。
……きっと君が真にこの技を必要とした時、私はもうこの世界には居ないだろう。
そうして続けられた台詞は、奥義の開発手段と試練のクリアを意味する言葉だった。
奥義は残りひとつ。盛り上がる仲間内で、ユウだけが一人、苦い顔をしているのが分かってしまった。
水雹の神殿へと進む道すがら、いつも殿を歩くユウの普段以上に足元がおぼつかない様子が気になって歩みを止める。
「ユウ? 顔色よくないよ。どうしたの?」
「そうか勇者様にはそう見えるか、じゃあ今日は戦闘サボろうかなー」
指摘してからわざとらしくげほげほと咳き込んで、実は風邪気味で、と彼が仮病のふりをする。仲間たちが調子に乗るなと一蹴し、ユウはダメかあと笑う。
仲間たちが気付いていたかどうかまでは知らないが、彼が無理をしているのは分かっていた。北の水雹の神殿へ向かう途中の小さな村で宿を取った夜、食事の後にふらっと席を外したユウを追って外へ出る。
あれだけ消耗していた彼が、部屋に戻るのではなく外に向かうというだけでも不思議だった。
周囲の仲間たちは、彼の性格や普段の言動からして夜遊びにでも出たのだろうと自分が追いかけるのを引きとめようとしてくれたが、夜遊びだったとしてもあの様子では連れ戻さなければきっと途中で倒れてしまうだろう。
制止を振り切ってユウの背中に追いつくと、彼は俯いてぶつぶつと独り言を呟いていた。
……きっと君が真にこの技を必要とした時、私はもうこの世界には居ないだろう。
そうして続けられた台詞は、奥義の開発手段と試練のクリアを意味する言葉だった。
奥義は残りひとつ。盛り上がる仲間内で、ユウだけが一人、苦い顔をしているのが分かってしまった。
水雹の神殿へと進む道すがら、いつも殿を歩くユウの普段以上に足元がおぼつかない様子が気になって歩みを止める。
「ユウ? 顔色よくないよ。どうしたの?」
「そうか勇者様にはそう見えるか、じゃあ今日は戦闘サボろうかなー」
指摘してからわざとらしくげほげほと咳き込んで、実は風邪気味で、と彼が仮病のふりをする。仲間たちが調子に乗るなと一蹴し、ユウはダメかあと笑う。
仲間たちが気付いていたかどうかまでは知らないが、彼が無理をしているのは分かっていた。北の水雹の神殿へ向かう途中の小さな村で宿を取った夜、食事の後にふらっと席を外したユウを追って外へ出る。
あれだけ消耗していた彼が、部屋に戻るのではなく外に向かうというだけでも不思議だった。
周囲の仲間たちは、彼の性格や普段の言動からして夜遊びにでも出たのだろうと自分が追いかけるのを引きとめようとしてくれたが、夜遊びだったとしてもあの様子では連れ戻さなければきっと途中で倒れてしまうだろう。
制止を振り切ってユウの背中に追いつくと、彼は俯いてぶつぶつと独り言を呟いていた。
