「さて、勇者の最終奥義を入手するにあたって……この石碑自体が怪しいわけだが」
「押してみる?」
んな単純な仕掛けなわけねえだろ、と彼が笑うのを横目に、えい、と力いっぱい石碑を押す。
石碑は音もなくゆっくりと背後に傾き、大きな音とともに床の上にめり込んだ。
「壊しやがったこいつ」
「……ごめんなさい」
神様の手紙が書いてあった部分は粉々だ。何やら精密な光るデザインが施されていた床も、石碑がめり込んだせいか光らなくなってしまった。
「待って、あれ」
ユウに睨まれて小さくなっていた自分は、僧侶が声を上げるまで異変に気が付かなかった。
倒れた石碑の上に、半透明でがさがさとちらついている姿の男が光とともに浮かんできたのだ。
「誰だろう?」
これまでの試練のボスのように攻撃してくる様子はない。しばらく様子を伺っていると、途切れ途切れの言葉が聞こえてきた。
……選ばれし勇者よ、君と直接じっくり話をする機会がないことが非常に残念だ。
言葉は聞こえにくかったが、前後に聞こえた台詞から、だいたいそんな意味合いだろう。
「押してみる?」
んな単純な仕掛けなわけねえだろ、と彼が笑うのを横目に、えい、と力いっぱい石碑を押す。
石碑は音もなくゆっくりと背後に傾き、大きな音とともに床の上にめり込んだ。
「壊しやがったこいつ」
「……ごめんなさい」
神様の手紙が書いてあった部分は粉々だ。何やら精密な光るデザインが施されていた床も、石碑がめり込んだせいか光らなくなってしまった。
「待って、あれ」
ユウに睨まれて小さくなっていた自分は、僧侶が声を上げるまで異変に気が付かなかった。
倒れた石碑の上に、半透明でがさがさとちらついている姿の男が光とともに浮かんできたのだ。
「誰だろう?」
これまでの試練のボスのように攻撃してくる様子はない。しばらく様子を伺っていると、途切れ途切れの言葉が聞こえてきた。
……選ばれし勇者よ、君と直接じっくり話をする機会がないことが非常に残念だ。
言葉は聞こえにくかったが、前後に聞こえた台詞から、だいたいそんな意味合いだろう。
