「今日……あの時の、おれ、ユウジから見てどうだった? ……こわく、なかった?」


 リュータが背中を丸めて、タオルを被ったまま俯いた。彼が本来ならどれくらいの年齢になるのかは分からないが、ほんの少しだけ見えた彼の本心は、彼自身が漠然とした恐怖に見舞われているような気がする。


 タオルを引っぺがして、その頭を叩いてやった。痛い、と彼が顔を上げ、こちらに目を向ける。頬を掴んで、両手でつねった。よく伸びる。


「いひゃい!」


「このアホ面が恐いわけあるか。それに……前世とかあんまり信じてねえけど、そういうのあるならほら、オレ昔はワカメだったかもしれないだろ」


「ワカメって」


「でもオレはオレだ。元々が天使だろうがワカメだろうが、今のおまえが、オレと一緒にゲームしたり飯食ったりしてだらだら遊んでたリュータだってことに変わりは無い」


 赤くなった頬を擦りながら、リュータがまた情けない顔をする。


 そうだ。彼が彼である限り、自分は彼を嫌うことなんてない。だからリュータが危惧していることと、自分の不安は全くの別物だ。


 ……この旅が終わったら、彼が自分を選んでくれるとは限らない。


「話はそれだけか?」