「さっき、さすが古澤だなって言ったんだ」

「え…?」



予想とは違う答えに驚いて顔を上げると、目に飛び込んできた先生の表情があまりにも意外過ぎて、その目を見開いた。


だって絶対困った顔をしてると思ったのに。

今までに見たことがないぐらい柔らかくて、まるで大好きな花を見るような、愛おしそうな表情をしていたから。



「去年の夏、初めて古澤がここで花壇の手入れをしてるのを見た時、本当に花が好きなんだなって思った。大人しくて、いつも自信なさげに下を向いて歩いてる古澤が、花壇に向かってる時は別人のように楽しそうで輝いて見えた」



あの日…私が先生に一目惚れした時。

まさか先生が私のことをそんな風に見てくれてたなんて、嬉しさと照れ臭さでカァッと頬が熱くなった。



「俺は何かに熱心に打ち込んで輝いてる奴が好きだよ」



そう言いながら、先生は白い歯を見せて太陽のように笑った。