「なんで、好きになっちゃったんだろう。」

体育で楽しそうに笑う顔、真剣に部活に取り組む顔。たまに、眠気に負けて寝落ちしちゃう授業中の顔。こっそりと眺めているそれだけで満足だったのに。

誰にでも優しくて、困ってる人を放っておけない。きっと、私以外の誰かにも優しくて、私以外の誰かにも想われている。

私は彼のことをたくさんは知らない。ただ、彼が優しさを向けてくれたこと。たまにこっそり盗み見る表情。聞こえてくる声。それだけしか知らない。

もっと、近づきたい。もっと知りたい。そう思うのはきっと私のわがままで、そんなことはもうとっくに分かっている。自覚している。