好きな人は、身長が低い。私より、ってレベルじゃない。男子としては小さい。

170cmを少し超えたくらいの私と、160ぎりぎり届くか届かないかの彼。横に並ぶと不格好だ。

私より格段に身長が高い男子が少ないせいで、運動会だとか文化祭の劇だとか、すぐに男役に推薦されていた。高校でもそう。なんとか女の子らしくなろうとした長い髪も、元々男っぽい顔立ちのせいで意味はなさなかった。

「女の子なんだから、」

そう初めて女の子扱いをしてくれたのは彼だった。日直のときに一緒にノートを運んでくれたり、先生からの雑用を手伝ってくれたり。

女の子、その言葉が私は嬉しくなったんだ。