そんな俺に聞こえてきたのは
ガタガタという椅子の音。
「〜っ、佐伯くん!
待ってよ!!」
水城の言葉に思わず立ち止まると
「佐伯くんはさ、
あたしが嫌いだからさ、
あたしの話しなんか聞きたくないと思うけど…っ、
お礼くらいさせてよぉ―…
ありがとう」
震えた水城の声が
静まりかえった教室に響いた。
「………」
水城、泣いてんの?
てか、俺に嫌われてるとか思ってんの?
「さ、佐伯くん…?
聞こえた??」
いろんなことを考えてたあまり黙っていた俺に
水城がもう1度声をかける。
あぁ、そうか。
俺が黙ってるからいけないんだ。
もっと水城と向き合わなくちゃいけないんだ。
そう気付いた俺は
「…俺、嫌いなんて言った?」
まずそう言って、水城に近付いた。


