振り返った俺は、
そうとう顔が赤かったんだろう。
「沙弥がいるってわかった途端
顔真っ赤にしてるし〜
いつまでも沙弥見てるし〜
ほら、今も顔真っ赤!」
女たちはニヤニヤしながら
「ほんとだ〜!」とか
「奈津が沙弥をねぇ…」とか言って
俺を見て茶化しだした。
は―…
どうしてみんなこうなんだ…
「うっせ―な…」
俺はそれしか言えなくて
早くこの場所から逃げたくて
早くほてった顔を冷やしたくて
女子たちに別れを告げ
足早に水道に向かった。
水道に辿り着き
頭から水を被っていると
「相変わらず奈津はモテるな」
ニヤニヤ野郎の声が聞こえた。
「あ?んだよ??」
水を止め振り向けば
そこにはやっぱり
弘貴がいた。


