「そういえば、もうすぐハロマだな」
1日ってのは早いもんで
今日も、もう部活の時間。
休憩中、
隣にいた櫻 弘貴(さくら ひろき)が
ぽつりと言った。
「…もうそんな時期か」
ってことは
水城を見つけたあの日から
もう1年も経つのか。
…あれが1年前なのか…。
「今、水城さんのこと考えてるだろ」
「ゴホッ」
心の中をずばり読まれて
思わずむせた。
弘貴を見ると
シラっとした顔で
水分補給をしてやがる。
「奈津は顔に出やすいからなぁ…」
俺の視線に気付いてこちらを向き
ニヤりと笑った弘貴に
腹が立つ。
「奈津はキャッチャーしかやれないね」
「ど―ゆ―意味だよ!?」
「そんなに顔に出てたら
相手に作戦読まれちゃうじゃん?
キャッチャーならマスクしてるから
どんな顔しててもわからんからね」


