目の前がみるみる滲んで 声が震えて …あ― 泣きそうなんだけど… 「ありがとう」 あたしの声が 静まりかえった教室に響いた。 「………」 ちょっと待って…?? またなにも言ってくれないの? 滲んだ視界に映る佐伯くんは 全く動かなくて。 いろんな不安が押し寄せる。 「さ、佐伯くん…? 聞こえた??」 またこのまま無視はやだよ? 不安な気持ちを押し殺して もう1度声をかけたら 「…俺、嫌いなんて言った?」 佐伯くんはそう言って振り返り あたしの側まで歩いてきた。