「えぇぇ……そんなの難しすぎる…」
心の中で呟いたつもりが、私としたことがつい声を洩らしてしまった。
だってあんなに小さな鳥を魔法で打ち落とすなんて、いくらカサエル先生といえど出題が難しいよ。
バスケットコート2面ほどある広さの実技室で、しかも5分以内だなんてぜったいにムリ。
「パルディウス。無理だと思うなら試験を受けないことも可能だぞ。しかしその場合、問答無用で成績は最下位だからな」
「あっ、いえ!やります、やらせていただきますっ‼」
クラスメイトたちが必死に笑いをこらえているのがわかって、真っ赤になっているはずの顔を俯けた。
……はぁ。
やるしかないのか…。
「では、誰から試験を行なおうか」
「はい、僕から行かさせてくださいカサエル先生」
実技試験のトップバッターは、決まっていつもライザだ。
ぴしっと指先を揃えて右手を伸ばしたライザに、カサエル先生は「では今回もマグダクトルからはじめるとしよう」と、ライザに第一実技室の中央に立つよう指示をした。
ライザが実技試験があるごとに、いつもトップバッターを志願する理由は最低なもんだ。
はじめにより良い成績を収めて、後に続くクラスメイトにプレッシャーを与えるためらしい。
ライザは好成績で試験を終えたあと、ほくそ笑みながら「見ろよ、アイツ緊張で足が震えてやんの。俺のあとだからかな」と、トールボットとそんな会話をしているのを小耳に挟んだから。


