とは言っても、仲睦まじく会話をするカーラとルキの間に割って入る勇気なんかない私は、遠目から指をくわえて見ていることしかできなかった。
ほどなくしてカサエル先生が、シルバーのトランクケースを片手にやってきた。
「1年生の諸君。私語はやめて皆私の周りに集まりなさい」
カサエル先生が一声かけると、賑やかな声は一瞬にして消え、耳に入る音はカサエル先生の元へ向かう足音だけになった。
「よし、27人全員揃っているようだな。ではこれから、実技試験をはじめるとしよう」
いよいよ実技試験がはじまった。
昨日はろくに練習もできなかったから、カサエル先生から出される出題を上手くクリアできるのか不安だ。
カサエル先生の試験は特に難しいから、不安は一気にピークまで達し、冷汗までかいてきた。
「今日君たちに出す試験の内容は、魔法を上手くコントロールができているか、素早く魔法を繰り出すことができるのか、という2点を見させてもらおう」
カサエル先生は足元に置いていたトランクケースを開いた。
「この広い実技室に私が用意した魔獣を5体放つ。その魔獣を魔法を使って5分以内にすべてを打ち落としてもらおう」
ケースの中から一斉に飛びあがったのは、500円玉よりも小さな赤い鳥たちだった。


