「むぅ……ごめん、ごめんってばメイベル。気をつけるから手を離して」
「もうっ、本当に声には気をつけてよ!魔獣もサマラさんとエリノア寮長に見つかったら、今すぐ消せだとかって言われちゃうんだからね!魔獣は創作主の魔法使いよりもさらに強力な魔法を使えることもあるから、寮内でも校内でも入れたら駄目だって!」
エイミーの口元から手を離すと、ピーちゃんはルキがつくった魔獣で私に譲ってくれた子なのだと説明をした。
するとエイミーは大きな瞳を爛々とさせながら「えっ、そうなの?ルキくんも魔獣をつくれるんだ?いいなぁいいなぁ、私も魔獣をつくって欲しいな!ほんっとに羨ましい」そう言って「ちょっと抱っこさせて」と枕元で眠るピーちゃんに手を伸ばした。
「あっ、エイミー!ピーちゃんは怖がりだから…」
逃げちゃうよ、と言い終わらないうちにエイミーの指がピーちゃんの長い耳に当たった。
ピーちゃんはびくりと飛び上がり「ピギーッ」と一声上げると一目散に逃げ出してしまった。
「あらら……そんなに怖がらなくてもいいじゃないのよ」
エイミーは勉強机の下に隠れてしまったピーちゃんを見つめながら、不機嫌に頬を膨らませた。
「魔獣は創作主以外の人は受け入れないから、逃げられても仕方がないよ。私も最初はそうだったから。ごめんね、エイミー」
「あぁ、そういえばそうだったね。じゃあ遠くから眺めるだけにしておくよ」


