足を止め振り返ったルキと目が合った途端、ぎゅっと心を掴まれてしまって、穏やかだった胸の鼓動がどくんどくん、と大袈裟に脈を打ちはじめた。



「どうしたの?」



不思議そうに首を傾げながら、ルキが私の元へ歩み寄ってくる。

ルキと私の距離が1歩、また1歩と縮まるにつれて私の胸はますます大きく、速く鼓動を刻む。



ルキにじっと見られているせいで、なんだか緊張してきた。



「うん……その、またこうして夜にふたりきりで会えないかなって思って」

「え、ふたりきりで?何で?」

「あっ、そのっ、魔法の特訓‼そう、私ってばいつまで経っても魔法が下手くそだから‼だからルキに魔法を上手に使えるコツを教えてほしいなって‼」



素直に想いを口にしてしまったはいいものの…。

ぽかんとした表情で理由を聞き返されなんだか恥ずかしくなってきて、慌てて嘘の理由をつけ加えた。



「あー、そうなの?うん、わかったいいよ。じゃあ明日も今日と同じ時間に、またこの場所で会おう」

「いいの?ありがとう、助かるよルキ」

「どういたしまして。じゃあそろそろ寮に戻ろうか、行こうメイベル」



再び寮に向かって歩き出したルキの後を小走りで追いかけた。

エイミーが眠る部屋に戻ったあとも、しばらくドキドキが冷めなくてなかなか目を瞑ることができなかった。