「まぁでも、助けてくれるくらいだから悪い人じゃないんだもんね。それなら私は、例えルキくんの正体がわからなくてもメイベルの恋を応援するよ」
「うん、ありがとうエイミー。それでさぁ、ちょっとお願いがあるんだけど…」
今夜の22時、寮をこっそり抜け出すにはエイミーの助けが必要だと考えた私は、ルキと2人で会う約束をしていることを耳打ちした。
消灯時間の22時を過ぎると、寮内の明かりは消え、寮長が出入り口や勝手口など、外に繋がる扉をすべてしっかりと施錠する。
となれば脱走経路はたぶん、部屋や廊下の窓くらいしかない。
「ほほう、なるほど。ルキくんに会うために、メイベルの脱走を手伝えと?」
「お願いだよ…エイミー」
脱走すること自体は、きっと私ひとりでも大丈夫だと思う。
でも問題はそこではなくて、寮長が部屋を見回りに来たときなんだ。
寮長は高等部の3年生で、名前はエリノア・ドイル。
細身で背が高くて、胸下まである長い黒髪のポニーテールと黒縁メガネがよく似合う彼女は生徒会長でもある。
つねに「寮のルールに従いなさい」と口うるさく、下級生を注意している姿を多々目にする。
それがまた面倒なことに、部屋を見回りに来るのはだいたい22時〜22時30分の間とかで、定まっていないから厄介なんだ。


