森の中で遭遇してしまった魔獣から、命からがら逃げていたときに助けてもらったこと。
記憶喪失の少年にルキという呼び名を私が与えたこと。
校門の防衛魔法を破ったこと、校長先生からヴィクトルという姓を与えてもらったこと。
ルキに関することはすべて話した。
「エイミー、絶対に誰にも言わないでね?ルキがすごい魔法使いだってことがみんなにバレたら、学校中がパニックになっちゃうから」
すべてを話し終えたあとに「本当に言わないでね」と付け加えると、エイミーはぽかんと開いた口からようやく声を発した。
「えぇーっ⁉ルキくんってば何者なの⁉ってことはさ、もしかしたら校長先生よりも強者なんじゃない⁉」
「エイミー!声が大きいってば!隣の部屋に聞こえちゃうよ!」
左隣の部屋には同じクラスの女子が2人、さらには右隣にも2人いるのだから。
思わず立ち上がってしまった私に驚いたのか、エイミーは肩をびくりと揺らしたあと「ごめんごめん」と、頭を掻きながら声量を抑えた。
「だってさぁ、あの校長先生よりも魔力が高いってことでしょ?若い頃は魔獣を一気に30体くらいつくれてたっていう逸話がある校長先生だよ?ねぇ、びっくりするでしょ普通!」
「そりゃまぁ確かにだけどさ……」
私なんか1体も魔獣をつくれないというのに校長先生は30体って…。
それはもう、信じられないくらい凄い話しではあるのだけれど。


