「ちょっとちょっと……なにをニヤニヤしちゃってんの?気持ち悪いよ、メイベル」
「はっ、エイミー!いつの間に帰って来てたの?」
声をかけられてはじめてエイミーの存在に気付いた私は、緩みきった口元を慌てて閉じた。
「素敵ってなにが?っていうか誰が?」
ドキッと一段と高く胸が弾む。
目を細めながら「やっぱりルキくんのことでしょ?」と鋭い質問を飛ばしてくるエイミーから、さっと視線を逸らす。
「えー?なんのことかなぁ?」
そんなことよりも勉強勉強、と咄嗟に話題を変え、教科書を再び開いて見るものの。
右頬に突き刺さる視線は、一向に私から逸らされる気配がない。
「しらばっくれても私の目は欺けないわよ。メイベルってば、ほんと呆れるくらいわかりやすすぎ」
真横に並べられたもう一つの勉強机に向かったエイミーは、ため息を連発しているあたり、言葉の通りすっかり呆れ果ててしまったようだった。
「うー……。私ってば、そんなにわかりやすいかなぁ?」
「わかりやすいでしょ。教室でルキくんを見つめる目がハートになってるよ」
机からペンケースとノートを取り出し、明日の魔法試験に向けて勉強をはじめたエイミーは「そんなんじゃ本人にバレちゃうよ」と、くすくす笑っていた。


