なんなのよ、ライザのやつ。
鼻高々に自慢なんかして、挙句の果てには私のことを馬鹿にして。
あんまり腹が立ってしまったから、思わず出てきてしまったはいいけれど。
結局、魔法の練習をなにひとつできなかったな。
第一実技室を出て校門まで走ったところで疲れてしまい、息を切らせながら歩を緩めると深いため息が洩れた。
また明日の実技テストも最下位だ。
またライザに馬鹿にされる。
そんなことを考えているとどんどん気が重たくなってくる。
「メイベル……?」
肩を落としトボトボ校門をくぐり抜けたとき、柔らかな声に遠慮がちに名前を呼ばれた。
はっと俯けていた顔を上げ振り返ると、いつの間にか私の後ろには笑顔のルキが立っていた。
「あっ!ルキっ……!」
途端にぱっと視界が明るくなる。
胸を覆い隠していた分厚い雲は一瞬にして消え、私の心は一気に晴れやかになった。
これといった話題があるわけではないけど、ルキと話したくて話したくて、うずうずしていた私の脳内からはぱっとライザの顔が消えた。
「うん、寮に戻ろうと思ったらちょうどメイベルの後ろ姿が見えたから。走って追いかけてきたんだ」
メイベルとぜんぜん話せなかったから、と笑いかけられた私の顔はきっと、熟したトマトのように真っ赤なんだろうな。
そう思うと、火照った顔を慌てて背けずにはいられなかった。


