「校長先生が辞めたって……やっぱりアレが原因かな?」

「そうだろうねぇ…。レックスさんが逮捕されたから…」



衝撃を受けた生徒たちから上がるざわめきの声は、しばらく収まることはなかった。



あのあと、レックスさんはライザのお兄さんのエイジ・マグダクトル警部を筆頭とした30人の魔導警察に逮捕されたとテレビから知った。



なんでも、屋根が壊れてしまった秘密のアトリエからは、大量の絵画がでてきたらしく。

キャンパスに描かれていたのは大蛇だったりオオカミだったり、ひとつめの男の子だったり。

これまでに人々に襲いかかってきた魔獣と、レックスさんが書いた絵が完全に一致しているということで、しばらくは牢獄から出られないだろうとライザが言っていた。



レックスさんが捕まったからといって、パパとママを殺された恨みがなくなったわけじゃない。

それでもほんの少しだけ、肩の荷がおりたように思えた。



「……というわけで、校長はヴィクトル先生にかわりこのカサエルが務めることになった」



カサエル先生は校長先生が退職した理由については、生徒たちになにも語ることはなかったけれど。

レックスさんが逮捕されたことが絡んでいると、みんなわかっているみたいだった。