「うわっ、なんか首が冷てぇっ‼なんだ?お前もしかして泣いてる⁉」

「うぅっ……ごめんっ」

「意味わかんねぇ!なに泣いてんだよ‼俺に鼻水つけたりなんかしたらぶっ飛ばすからな‼」

「グスッ……気をつけます…」



ルキにはきっとまた会える。

レックスさんが魔法を使えなくなってしまったのは、一時的なことなのかもしれないんだし。

レックスさんがまた魔法を使えるようになれば、ルキだってきっと戻ってくるはず。



だから大丈夫。

また会える。



そう思うのに。

もしかしたらレックスさんは、この先もずっと魔法を使えなくなってしまったのかも。

魔法使いから、ふつうの人間になってしまったのかも。

もしそうだとしたならば、ルキは完全に消滅してしまったのかもしれない。



二度と会えないかもしれない。

私が消してしまったんだ。



そんなことを考えれば考えるほど、泣かないようにしなきゃって思うのに涙が止まってくれない。



「ごめんねっ、ライザ。ちょっとだけ泣かせて…」

「泣きたいなら泣けばいいけど、絶対に鼻水だけはつけるなよ」

「ありがとう…」



ライザの背で、心の中でルキに会いたいと叫びながら泣き続けた。

そのままライザに背負われたまま寮へ戻り、病院に行くために校長先生が運転する車の中でも涙は止まることはなかった。