「お前……創作主であるこの俺に本気で勝てると思ってんのか?つくり物のくせによ!」

「勝てるとは思ってない。魔獣はどう頑張っても創作主を超えられないことは、わかってるから」

「じゃあ何故、今頃戻ってきて俺に逆らおうとするんだよ⁉」



レックスさんが眉間を寄せると、両手のひらから放出されている氷柱は一層勢いを増し、量も倍くらいに膨れ上がった。

真正面から降ってくる豪雨のような氷柱は、ルキの防衛魔法にいくつもぶつかった途端にくるりと反転してレックスさんに向かっていく。

防衛魔法の透明な壁越しにレックスさんを見つめているルキは、槍のように氷柱が飛んでくるという顔が青ざめるような状況にも関わらず至って冷静だ。



そんなルキとレックスさんの間に割って入るなんて絶対に出来そうにないけれど、それでもこのまま隠れているだけなんて嫌。

なんとかしてレックスさんの猛攻を止めなきゃ……と思っても、私にはもう魔力がほとんど残されていない。

だからレックスさんに攻撃できたとしても、魔力の消費が多い創作魔法で火を出したり氷を出したりなんか出来そうにない。



それなら転置魔法を使って、あたりの岩や木をぶつけて気を失わせるしかないか。

そう思った私は、木の幹に隠れたまま、氷柱が止まないあたりを見渡してみる。



すると、屋根がなくなってしまった秘密のアトリエの付近で横たわり、身体を休めているピーちゃんが目に入った。

そして、そんなピーちゃんのそばには枯れ葉の絨毯に複数突き刺さった氷柱も見えた。