私に変身したピーちゃんは突然、2段ベッドの下段に潜り込むと布団を被り、くるりと壁を向いた。

かと思えばすぐに振り返って上半身を起こし、「ピピッ‼」と陽気な声をあげながらピースなんかしている。



「ん……?もしかして、ピーちゃんが私に変身してエリノア寮長を誤魔化してくれるって言ってるの?」



コクコク、と私に変身したまま何度も首を縦に振るピーちゃんは「任せてよ‼」と言っているように思えた。



そっか……そういうことか‼

これならエリノア寮長が見回りに来ても、脱走していることがバレずにすみそうだ!



「凄いっ‼凄いよピーちゃんっ、凄すぎるよ‼変身ができるなんて凄いっ!まぼろしの魔法なんだよっ‼」



ピーちゃんは私のベッドの上で小さなうさぎの魔獣に一瞬にして姿を戻すと、「どんなもんだい」とばかりに「ピッ‼」と得意げに鼻をならしながら鳴いた。



エリノア寮長が部屋を見回りに来たときのために、ピーちゃんが私のふりをしてくれるというのならもう何も心配をするようなことはない。

……いや、ピーちゃんが私の姿で「ピー」と鳴いたりしないかはかなり不安な要素だけれど、私にそっくりな枕を使って誤魔化すよりかはずっといい。



「いい?ピーちゃん、とにかく寝たふりをするんだよ?私の姿のまま絶対にピー、とか言っちゃだめだからね?」



あっという間に私の右肩に上がってきたピーちゃんが「ピピッ‼」と鳴いたから、それはきっと「わかったよ」ということなのだろう。