白いブラウスに、裾にはレースがあしらわれた膝上の黒いスカートは、今まさに私が着ている制服で。

ブロンドの胸まである長い髪も、グレーのアイシャドウと細くひいたアイライン、マスカラで大きく見せた瞳も。



それはまるで鏡を見ているような気分だった。



「ど……どういうことなの?なんで私が2人も……」



足元にいたはずのピーちゃんがいなくなった。

そのかわりに私が現れたということは、もしかして目の前にいる私はピーちゃんが変身した姿……だったりして?



「ピピーッ‼」



目の前にいるもうひとりの私はピーちゃんのような声をあげながら、満面の笑みでうさぎのようにぴょんぴょん飛び跳ねた。



「え……ピーって…。まさか本当にピーちゃんなの⁉」

「ピピピィッ」



と飛び跳ねたもうひとりの私は、首を縦に振っていて「そうだよ」と言っているかのようだった。



「えぇ⁉ピーちゃんって変身できるの⁉」



人や物や動物や、思うがままに何でも姿を変えられる『変身』の魔法は、どんなに優秀な魔法使いでも扱えないまぼろしの魔法だ。



強い力を持つ魔獣が、ごくごく稀にまぼろしの魔法を使うことがあるのは知っていたけど。

まさかピーちゃんが、そのまぼろしの魔法を使えるだなんて。

そんなこと夢にも思っていた私は、ぽかんと開いた口が塞がらなくなった。