ルキが出てくるのを男子寮の近くで待っていようか、それとも校門の前がいいか、もしくは教室の中か。

散々悩んだ末、やっぱり教室の中で待つことにした。

ルキはだいたい、8時15分くらいになったら登校してくる。



「ルキ……昨夜は疲れきった様子だったから、もしかしたら欠席だったりしないかな…」



まだクラスメイトがいない教室で、ひとり窓枠に両手をつき校庭を見下ろす。

8時を過ぎてくれば、ぽつり、ぽつりと校門をくぐり抜け校庭を歩く生徒が増えてくる。

その中にルキの姿がないかしばらくの間目をこらして見ていたけれど、ルキはなかなか現れない。



そうこうしているうちに、静まり返っていた教室にクラスメイトたちの声が増えはじめる。



そろそろルキが来る8時15分になる。

きっともうすぐ登校してくるだろうから、廊下に出て待つことにしよう。



開け放たれた窓にくるりと背を向け、賑やかな笑い声を響かせているローリーを筆頭とした男子集団の横を通り、木製の扉に手をかけた。



がらりと扉を開けた瞬間にライザと鉢合わせてしまった私は「ぎゃあっ‼」と叫ぶような声をあげてしまった。



「うわっ、なんだよお前びっくりしたっ‼デケェ声出してんじゃねぇよクソ万年最下位‼」



ライザはびくりと大きく肩を揺らせたあと、「さっさとどけよ」とばかりに睨むような鋭い視線を向けてきた。