ビリビリとした強い魔力なんて、そんなもの私はまったく感じたことはないけれど。

レックスさんは龍をつくった張本人だからこそ、龍が放つ魔力を誰よりも敏感に感じ取っているのかもしれない。



「レックスさん。もしその龍の魔獣が見つかったら……ひとつお願いしたいことがあるんです」



正面に立つレックスさんと隣に立つルキの視線が、同時に私へ向いた。

レックスさんに「なんだ?言ってみろよ」と聞き返され、私はルキの記憶が龍に抜き取られてしまったかもしれないという仮設を話した。



「俺の記憶が龍に……?メイベル、それはいったいどういうこと?」

「校長先生から、レックスさんが探している龍の魔獣の話しをちょっとだけ聞いたの。レックスさんの龍は、記憶を消すというまぼろしの魔法が使えるんだって」



だからもし龍を見つけることができれば、ルキの記憶を返して欲しいとレックスさんに頼みこんだ。



レックスさんは「チッ……母さん、余計なことを話しやがって」と悪態をつきながらも、「わかったわかった」と首を縦に振ってくれた。