「あの大蛇をあっという間に…?それマジで言ってんのかよ…」
「ん?あの大蛇って……やっぱりレックスさんも、あの大きな魔獣に遭遇したんですか?」
レックスさんは「あっ、いやいや…」と言葉を濁しながら、焦ったように咳払いをした。
「あまりにもでかい魔獣だったから、遠目でチラッと見えただけだ」
「あっ、なんだそういうことか。レックスさんも襲われたのかと思って心配しましたよ」
まぁレックスさんほどの腕利きの魔法使いなら、大きな魔獣でもルキのようにあっという間に倒してしまうんだろうけど。
それにしてもレックスさんは、また森に話せる龍の魔獣を探しにいくつもりだろうか。
そんな疑問をぶつけようと思ったタイミングで、ルキが「また龍を探しに森へ行くんですか?」と私がまさに聞こうとしていたことをレックスさんに問いかけた。
「ああ、もちろんだとも。龍がいなくなってからは、暇さえあればこうして森に来てるんだよ」
「どうしてこの森ばかりを探すんですか?」
すかさず私がそう聞き返すと、レックスさんは深い森へ目をやりながら「この近辺にとてつもなくデカい魔力を感じるんだよ」と教えてくれた。
それは実母である校長先生の魔力とはまた別の、もっと強くビリビリとした魔力だと。
レックスさんは森の周辺から感じるその強大な魔力こそが、例の話せる龍が放っている魔力だと確信しているようだった。


