「レックスさーんっ‼さっきそこにすっごく大きな魔獣がいてっ……!レックスさんは襲われたりしなかったですか?大丈夫ですか⁉」
レックスさんは魔獣が現れたことに特に驚くようなこともなく、「魔獣ねぇ。それよりも、こんな夜中にまたお前らと出会ったことにびっくりだわ」とため息を混じらせた。
その反応からわかったことは、どうやらレックスさんはあの大蛇に襲われたりしなかったみたいで安心した。
「そういうお前らこそ、こんな月が明るい夜にまで出歩いたりして……。そのデケェ魔獣に襲われなかったのかよ?」
「襲われたんですけど、ルキがあっという間に倒してくれたんですっ」
ね、ルキ?と私の1歩後ろに立つルキを振り返ると、ルキは「いやいや…あっという間じゃなかったよ」と困ったように笑っていた。
レックスさんの視線が、私の奥に立つルキへと注がれる。
「あっという間に?この少年がか?見たところ大した魔法使いには見えないけど、それはマジな話か?」
「ルキは大した魔法使いですよっ、レックスさん‼地面から尖った岩をいっぱいだして、あっという間だったんですから!」
興奮気味に話す私に対してルキは「俺なんかぜんぜん大したことないよ。あれはたまたま上手くいっただけ」なんて苦笑いをしながら謙遜している。


